【お知らせ】横川慎二教授らの研究チームが感染症のリスク低減に向けてCO2濃度上昇のシナリオを可視化-多次元時系列データの解析に成功-

◆アクティブラーニング空間に張り巡らせたセンサーネットワークを用いて、感染症のリスクが高くなるシナリオを抽出

◆本学附属図書館の施設に設置した環境センサー、スマートプラグなどの多次元時系列データを使い、エアロゾル感染のリスクに対応するCO2濃度上昇について検討

◆位相的データ分析の手法でシナリオを可視化し、提案手法の有効性を確認

 

【概要】

 横川慎二教授(i-パワードエネルギー・システム研究センター)らの研究チームは、感染症のエアロゾル感染[1]の回避に向けて、CO2センサー[2]から得られる多次元時系列データ[3]を解析する手法を開発しました。これによって感染リスクが高くなるシナリオを抽出することができます。
今後も続く感染症との戦いにおいて、エアロゾル感染を避けるためにCO2センサーから得られるデータを活用することが求められています。しかしながら、多次元の時系列データを分析してその全容を把握することは容易ではありません。


今回、センサーネットワークを張り巡らせた電気通信大学附属図書館のアクティブラーニング空間[4](Agora)において取得した、環境センサーやスマートプラグなどの多次元時系列データ(2018-2019)を使い、エアロゾル感染のリスクに対応するCO2の濃度上昇について検討しました。この多次元時系列データについて、位相的データ解析(Topological Data Analysis;TDA)[5]の手法を用いて感染症のリスクが上昇するシナリオを可視化し、提案手法の有効性を確認しました。
成果は国際学術誌「IEEE Sensors Journal」に掲載されました。

 

【今後の期待】

 特定の条件の下で人感センサーの値が通常よりも高くなった2、3時間後に、該当エリアのCO2濃度が高くなることから、例えば、それよりも前に換気をするよう制御することで空気の流れを変えるといった感染対策が可能になります。また、事前に局地的なCO2濃度を予測して利用者にCO2濃度を知らせることができれば、より適切な行動変容を起こせるため、CO2濃度の局所的な増加を避けることができます。こうした知見は、今後主流になると見込まれる職場形態の一つであるコワーキングスペースなどの適切な運用の指針にすることができます。


今後は、Mapper法によるデータの解釈を自動化し、CO2濃度の上昇をリアルタイムに予測して異常な増加を抑制し、かつエネルギー消費を極力抑えた局所空調制御の方法などの検討が課題になります。

 

(論文情報)

雑誌名:「IEEE Sensors Journal」
論文タイトル:Analysis of the trends between indoor carbon dioxide concentration and plug-level electricity usage through topological data analysis
著者:Shun Endo, Shinji Yokogawa
DOI番号:10.1109/JSEN.2021.3130570


プロジェクト詳細については下記のニュース及びPDFも併せてご覧ください。

電気通信大学ニュースリリース

 

2022年01月06日